程々な薬剤師のブログ

日々の気になったことを発信しています。学びの場の共有と自分の備忘録もかねていますので、稚拙な文章ですが許してやってください。

薬物動態研修会備忘録~その1~

 

11月に入ってめちゃめちゃ忙しい日が続いて更新が途絶えてしまい申し訳ありません。

 

その間、研修会などいろいろあってアウトプットしようと思ってもなかなかできなかったのですが、やっと時間ができたのでブログを更新しようをおもいます。

 

さて、今回は

 

薬物動態学の研修会を全7回でシェアしたいと思います。

 

先日、盛岡市内で菅野 疆先生がご講演された内容です。参加者は若い薬剤師さんも多く、ディスカッションでは自分が気づかなかった意見もでたりして、かなり勉強になりました。

 

まず1つ目は

 

CLcr(クレアチニンリアランス)の推測2つの方法です。

 

2つのクレアチニンリアランスの推測方法

 

1    年齢しかわからない場合(CLcr基準値:今回は100とする)

  

e–CLcr(推測クレアチニンリアランス)=[100–(年齢–40)×1.0]mL/min

 

※ CLcrは40歳を過ぎると1mL/min/年で低下

→70歳ではCLcr=70mL/minと推測される。

 

2   S–cr値(血清クレアチニン値)がわかる時(cockcroft–Gault式)

            e–CLcr=(140–年齢)×体重(kg)

                  72×S–cr(mg/dL)     mL/min

 

注意: 分子に年齢があるため、高年齢では推測値が小さくでることがある。

  また、体重も分子にあるため、高体重では値が大きく出ることがあるのでその辺を考慮。

 

では、実際の症例から考えてみることにしましょう。

 

症例1:80歳男性 高血圧、うっ血性心不全

 

Rp1) ハーフジゴキシン錠0.125mg 1錠

         カンデサルタン錠 8mg   1錠     朝食後服用  30日分

 

課題  若年齢者のe–CLcrを100mL/minとして、この患者のe–CLcrを示し、評価しましょう。

 

回答例

 

S:高齢なのでジゴキシンは少量。

 

O:上記1の式を採用 e–CLcr=[100–(年齢–40)×1.0]mL/min

                                  →100–(80–40)×1.0

                =60mL/min

 

A:cockcroft–Gault式では高齢者は低く出る傾向にある。S–crも明らかではないため、cockcroft–Gault式は使わない方がいい場合もある。

 

P:e–CLcrは40%低下→ジゴキシン血中濃度上昇の可能性→徐脈、吐き気など副作用注意→できればTDM測定を依頼しよう。

 

続いて

 

症例2:50歳男性 60kg S–cr 1.3mg/dL

 

Rp1) べプリジル錠50mg  2錠

         アプリンジンカプセル20mg  2カプセル 朝夕食後 30日分

 

課題  不整脈で治療中。腎機能の低下があります。この患者さんのCLcrを推測し、注意事項を示してください。

 

回答例

 

S:ときどき不規則に不整脈が出る。

 

O:e–CLcrの推測:50歳男性60kg、S–cr1.3mg/dLから、

     cock croft–Gaultの式を採用

     e–CLcr=(140–年齢)×体重(kg)/72×S–cr(mg/dL)

                 =(140–50)×60kg/72×1.3mg/ dL

                 =57.7mL/min

 

A:べプリジルは腎排泄型→過剰効果に注意!

 

P:新たな不整脈に注意

 

いかがでしょうか?

実際の症例があることで、調剤薬局の現場でも薬物動態の知識がこのように使われることを知ることも大切ですね。

 

次回は過去の血糖値を知る方法についてシェアします。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

もし、わからない点や聞いてみたい点などがありましたら、コメントなどお寄せください。

まとめて菅野先生に聞いてみようと思います。