程々な薬剤師のブログ

日々の気になったことを発信しています。学びの場の共有と自分の備忘録もかねていますので、稚拙な文章ですが許してやってください。

引っ越してきました❗

久しぶりの投稿です。
それまでの間、エビテンに出演させてもらったり、仕事が忙しかったりでなかなか更新できませんでした。

心機一転もかねて、アメブロからはてなブログに引っ越すことにしました。

けっこう面倒だったけど☺

今後ともよろしくお願いいたします🙇

程々な薬剤師

薬物動態研修会備忘録~その2~

 

こんにちは。

 

薬物動態学の研修会の内容を全7回にわたってシェアしています。

 

今回は第2回ということで

 

HbA1cから過去の血糖値を知る方法にについて書いていきます。

 

過去1〜2ヶ月前の血糖値の推測方法

 

1:推定平均血糖値(mg/dL)

                    =28.7×HbA1c–46.7

 

2:簡易計算平均血糖値(mg/dL)

                    =(HbA1c–2)×30

 

ちなみに2で計算した数値に5を足すことで1の式で出した数値とほぼ同じになるらしい。

 

では実際の症例から。

 

症例1

 

60歳 男性 68kg、糖尿病歴8年

 

Rp1)グリベンクラミド錠1.25mg  1錠

1日1回 朝食前服用  30日分

Rp2)

ボグリボース錠 0.3mg 3錠

1日3回毎食直前  30日分

 

HbA1c:7.2  GLU:140mg/dL。

この患者さんの過去2ヶ月間の糖尿病療養状況を評価してみましょう。

 

 

解答例

 

S:頑張っています。

 

O: 2ヶ月前の簡易計算血糖値は

(7.2–2)×30=156mg/dL

 

A:今回の血糖値は140mg/dLということから、2ヶ月でおよそ16mg/dLの血糖低下ということが推測される。→努力の結果かな?

 

P:褒めてあげたりすることで治療意欲が下がらないよう支援する

 

いかがでしょうか?

 

A1cだけでなく、平均の血糖値を算出することで糖尿病患者さんの治療状況を評価することができるとは私も知りませんでした。

 

早速現場でも活用しています。裏技ですけど…とか言って計算してあげたりしています。

 

次回は横紋筋融解症のチェックについてシェアしたいと思います。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

薬物動態研修会備忘録~その1~

 

11月に入ってめちゃめちゃ忙しい日が続いて更新が途絶えてしまい申し訳ありません。

 

その間、研修会などいろいろあってアウトプットしようと思ってもなかなかできなかったのですが、やっと時間ができたのでブログを更新しようをおもいます。

 

さて、今回は

 

薬物動態学の研修会を全7回でシェアしたいと思います。

 

先日、盛岡市内で菅野 疆先生がご講演された内容です。参加者は若い薬剤師さんも多く、ディスカッションでは自分が気づかなかった意見もでたりして、かなり勉強になりました。

 

まず1つ目は

 

CLcr(クレアチニンリアランス)の推測2つの方法です。

 

2つのクレアチニンリアランスの推測方法

 

1    年齢しかわからない場合(CLcr基準値:今回は100とする)

  

e–CLcr(推測クレアチニンリアランス)=[100–(年齢–40)×1.0]mL/min

 

※ CLcrは40歳を過ぎると1mL/min/年で低下

→70歳ではCLcr=70mL/minと推測される。

 

2   S–cr値(血清クレアチニン値)がわかる時(cockcroft–Gault式)

            e–CLcr=(140–年齢)×体重(kg)

                  72×S–cr(mg/dL)     mL/min

 

注意: 分子に年齢があるため、高年齢では推測値が小さくでることがある。

  また、体重も分子にあるため、高体重では値が大きく出ることがあるのでその辺を考慮。

 

では、実際の症例から考えてみることにしましょう。

 

症例1:80歳男性 高血圧、うっ血性心不全

 

Rp1) ハーフジゴキシン錠0.125mg 1錠

         カンデサルタン錠 8mg   1錠     朝食後服用  30日分

 

課題  若年齢者のe–CLcrを100mL/minとして、この患者のe–CLcrを示し、評価しましょう。

 

回答例

 

S:高齢なのでジゴキシンは少量。

 

O:上記1の式を採用 e–CLcr=[100–(年齢–40)×1.0]mL/min

                                  →100–(80–40)×1.0

                =60mL/min

 

A:cockcroft–Gault式では高齢者は低く出る傾向にある。S–crも明らかではないため、cockcroft–Gault式は使わない方がいい場合もある。

 

P:e–CLcrは40%低下→ジゴキシン血中濃度上昇の可能性→徐脈、吐き気など副作用注意→できればTDM測定を依頼しよう。

 

続いて

 

症例2:50歳男性 60kg S–cr 1.3mg/dL

 

Rp1) べプリジル錠50mg  2錠

         アプリンジンカプセル20mg  2カプセル 朝夕食後 30日分

 

課題  不整脈で治療中。腎機能の低下があります。この患者さんのCLcrを推測し、注意事項を示してください。

 

回答例

 

S:ときどき不規則に不整脈が出る。

 

O:e–CLcrの推測:50歳男性60kg、S–cr1.3mg/dLから、

     cock croft–Gaultの式を採用

     e–CLcr=(140–年齢)×体重(kg)/72×S–cr(mg/dL)

                 =(140–50)×60kg/72×1.3mg/ dL

                 =57.7mL/min

 

A:べプリジルは腎排泄型→過剰効果に注意!

 

P:新たな不整脈に注意

 

いかがでしょうか?

実際の症例があることで、調剤薬局の現場でも薬物動態の知識がこのように使われることを知ることも大切ですね。

 

次回は過去の血糖値を知る方法についてシェアします。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

もし、わからない点や聞いてみたい点などがありましたら、コメントなどお寄せください。

まとめて菅野先生に聞いてみようと思います。

やっぱり手洗いが大切ですね

11/12~18まで、世界抗菌薬啓発週間が行われています。

 

自分のような平凡な薬剤師に何ができるのかな~と思ってぼーっと考えていました。

 

ふと目にした薬局のポスター。

 

「うがい、手洗いの励行を」

 

手洗いって、どれほど大事かは学校薬剤師もやっていて十分理解しているつもりでしたが、面倒くさかったり時間がもったいないなどの理由ではしょられたりしますよね?

 

手洗いを楽しくする方法って何かないかと探していたら、

 

面白そうな動画が見つかりましたので紹介したいと思います。

 

1・「おててテトテト」  制作 東北大学病院

なんと、東北大学病院が作っています。さらに、歌っているのは

「みいつけた」のオフロスキーでおなじみのあの俳優さん!!

1回聞くと結構耳に残ります。

 

2・「Hand Hygiene Dance」 制作 SARAYA

ダンスがすごすぎて手洗いがまったく入ってきません(笑)

でもアフリカなどの子供たちをまもるために考えたこの動画は素晴らしいと思います。

 

3・「あわあわ手あらいのうた」  制作 花王株式会社

 

子供向けに作っているため、とってもかわいいです。

さすが花王さんですね。

 

他にも調べたらたくさんあって、自治体が作成しているものやユニセフが作成しているものなどありますから、興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか?

 

手洗いについて、こんな報告があります。

 

手洗いの時間、回数による効果を調べた研究で

手洗いをしない場合                   ウイルス量1000000個とした場合、

流水で15秒手洗い                            約10000個

ハンドソープで10秒または30秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ  数百個

ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ         数十個

ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回     約数個

*出典 森功次他:感染症学雑誌、80:496-500,2006

 

衝撃の結果ですね。手洗いにウイルス、細菌を殺す作用はありませんが、減らすことはできるんですね。

 

手洗いをすることで、少しでも感染症(呼吸器感染症、腸管感染症など)を予防し、抗菌薬の適正な使用、耐性菌の発現の防止になるよう、できることから初めてみては?

 

あ、自分も含めてですけどね。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

参考

あわあわ手洗いのうた/花王株式会社

東北大学病院

SARAYA/100万人の手洗いプロジェクト

 

 

 

薬剤師の自習室 開催報告と備忘録もかねて

11/1に実施した薬剤師の自習室の内容を共有したいと思います。

 

まず、今度発売される過活動膀胱治療薬「ビベグロン錠」について、

 

メーカーパンフレットにのっていた第3相試験の論文を読んでみました。

 

参加された薬剤師の中には論文抄読会初参加の方もいて、ざっくりとPECOの考え方、

 

真のアウトカム、代用のアウトカムの考え方をおさらい。

 

「ランダム化比較試験を10分で吟味するポイント」チェックシートに沿って進めました。

 

論文の内容については誰かがまとめてくれるのを期待してここでは割愛します(他力本願ですいません・・)

 

ついでに、最近「くすりのかたち」という本を読んだので、ついでにビベグロンとミラベグロンの構造について考えてみました。


アドレナリンβ3作動薬ということですから、アドレナリンの骨格に似ている部分がありますね。(左側のベンゼン環からOH基のあたり)

 

さらに、β3受容体にくっついて作動させるための骨格が真ん中のベンゼン環から右側の構造なんだそうです。

くわしくはこちら https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/50/6/50_533/_pdf

 

まだ「くすりのかたち」を全部読んでいないのですが、かなり参考になりますね。

 

次に、実際にトレースレポートを書いた症例をもとに、ディスカッション形式で勉強してみることにしました。


この症例をみて、なにか薬剤師として考えることはありますか?ということでディスカッションしました。

 

 

いろんな意見がでました。

 

 

参加者の声

・利尿剤投与によって水分が奪われ便秘につながっているのではないか。

・フェキソフェナジンの処方意図が分からない

・ランソプラゾールはバイアスピリンによる胃腸障害防止の目的でいいのか?

マグネシウム錠が寝る前服用では胃酸が少ないため効果が不十分なのではないか?

・ランソプラゾールが夕食後だと胃酸を抑えるため、マグネシウム錠とは間隔をあけたほうがいいと思う。

 

また、PPI投与によってVB12が減るといった報告があるとのご意見もありました。それについては論文がみつかったので後日読んでみたいと思います。

 

ディスカッションのあとでこの症例の考え方の1部を紹介。

 

 

酸化マグネシウムの生体内における反応は

胃内 : 2HCl + MgO →MgCl2 +H2O

腸管内 : MgCl2 + 2NaHCO3 → 2NaCl + Mg(HCO3)2である。 生成物Mg(HCO3)2が腸管内の浸透圧を高めて腸内に水分を引き寄せることで排便を促すという機序である。

しかし、酸分泌抑制剤を併用した場合は上記の反応がおこりにくく、 Mg(HCO3)2の生成が減少するため、酸化マグネシウムの作用が減弱することが予想される。

 

要するに酸化マグネシウムPPIの相互作用が起きている。そのため服用時間の変更や多剤への変更の提案が望ましいのでは?ということでした。

 

今回、実際トレースレポートを書いた症例を提示してディスカッションしましたが、意外に面白かったですね。発表のトレーニングにもなりますし、なにより一人で悩むより何倍もの気づきが得られるのは素晴らしいことだと思いました。

 

この方式は次回以降も続けたいと思います。参加してくださった3名の方には感謝申し上げます。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

薬剤師の自習室開催のお知らせ

みなさまこんばんわ。

 

だいぶ寒くなってきましたが、風邪などひかないようお気をつけてくださいね。

 

さて、今月の薬剤師の自習室ですが、

 

2部構成を予定しています。

 

第1部は論文抄読会です。

 

新規過活動膀胱治療剤「ビベグロン」の第3相試験の論文を読んでみたいと思います。

 

お題論文はこちら

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29366513

 

http://2.bp.blogspot.com/-clIkBOVVGfk/UjW8olB-HiI/AAAAAAAAAIg/5UQ8DGNRZl0/s1600/RCT10%E5%88%86.png

 

そして第2部は症例検討会を予定しています。

お題は当日配布いたします。

 

初めての方も大歓迎です。寒くなってきて参加者も少なくなってきました。

見学だけでもOKですのでぜひ足を運んでみてください。

 

場所 ビッグルーフ滝沢 小会議室1

 〒020-0665 岩手県滝沢市下鵜飼1番地15 

 

時間 19:00~

 

日時 11/1(木)

 

なお、タブレットやPCを持ってくると論文検索がしやすいです。

 

薬の神様ってご存知ですか? ~薬と健康の週間によせて~

突然ですが、皆さんは薬の神様が誰だかご存知でしょうか?

今日、職場のスタッフに聞いてみましたが、だれも知りませんでした(神様ごめんなさい汗)

 

なぜ、このタイミングで薬の神様の話をしているかというと

 

10/17~10/23の期間は

 

「薬と健康の週間」

 

といって医薬品を正しく使用することの大切さ、そのために薬剤師が果たす役割の大切さを一人でも多くの方に知ってもらうために、ポスターなどを用いて積極的な啓発活動を行う週間です。

 

で、なぜ10/17からなのかというとその日は

 

「薬祖神祭の日」

 

といって医薬の神様を祭っている薬祖神社で祭典が行われる日なのだそうです。

 

その薬祖神社に祭られている神様が

 

大己貴命(おおなむじのみこと)」

 

少彦名命(すくなひこなのみこと)」

 

の2人なのだそうです。

 

あまり聞いたことない名前だと思いますよね?

 

大己貴命は別の名前を「大国主命」ともいい、「因幡の白兎」のお話で登場する神様なのです。(ほかにも名前は多数ある。)

 

また、七福神の1人でもある「大黒天」と同一であるともいわれています。(神仏習合による)

 

ここまで来れば少しは聞いたことあるかもしれませんね。

 

一方、少彦名命ですが、大国主命のパートナーとなって国つくりをおこなったとされています。

 

その2人と医療はどう関係あるの?というと

 

大国主命は「因幡の白兎」のお話の中で傷ついた白兎に「真水で体を洗い、蒲黄(かまのはな)を敷いて、そこに寝転びなさい。」と諭しました。

 

それが正しい治療法であるということから、医療の神様という性格を得たといわれています。

 

また、少彦名命が突然の病に苦しんだときに、大国主命は大分の「速水の湯」を道後へと導き、手のひらに温泉を作り少彦名命をそこへ浸して湯あみさせ温めました。すると少彦名命はたちまち元気をとりもどし、立ち上がりました。というエピソードがあり、少彦名命も医療の神として知られるようになったのだそうです。

 

いかかでしたか?

 

意外と知らないことも多かったと思います。(私もこうやって調べて初めて知りました)

 

薬と健康について考えたときに、「薬の神様」という存在がある。

 

ということも知ってもらえたら幸いです。

 

多少引用などで間違えている部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

参考

厚生労働省リンクhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177928_00003.html

東京薬事協会さま http://www.yakujikyo.or.jp/festival/history.html

やおよろず 大国主命https://yaoyoro.net/%E5%B0%91%E5%BD%A6%E5%90%8D%E5%91%BD.html

少彦名命

https://yaoyoro.net/%E5%B0%91%E5%BD%A6%E5%90%8D%E5%91%BD.html